フィンランドのセイナヨキで発見された盗難車の中で、警察は多くの捜査員なら小さなゴミとして払いのけていたかもしれないものに目を留めた。体内の血液がまだ分析に値するほど新しい、死んだ蚊だった。[1]

フィンランドの自動車盗難事件で、警察は、放置された車内で見つかった死んだ蚊の体内の血液から採取したDNAが、警察登録簿に載っていた男性と一致したと発表した。容疑者は車を盗んだことを否認しており、この蚊を介した試料が起訴に足る証拠となるかどうかは、なお検察官の判断に委ねられていた。

その車は6月、ヘルシンキの北約380キロ、235マイルほどにあるラプアで姿を消していた。[1] 数週間後、盗まれた場所からおよそ25キロ離れたセイナヨキで発見された。[1] 盗難車としては、そこまでは珍しい話ではない。だが、車内にいた“有用な目撃者”は普通ではなかった。

発見された車は、捜査員にとって座席、取っ手、布地、ほこり、人が痕跡を残したかもしれない小さな場所が詰まった、狭い世界になる。今回の痕跡は、指紋でも落とされたレシートでもなかった。警察官たちは、その蚊がごく最近血を吸ったように見えることに気づき、昆虫を実験室での分析に回した。[1]

検査の結果、その血液からDNA型が得られ、その型は警察登録簿に載る男性と一致した。[1] 容疑者は警察の見立てを受け入れなかった。BBCによると、彼は車を盗んだことを否認し、単にヒッチハイクをしていて、別の男性の車に乗せてもらっただけだと話したという。[1]

訓練マニュアルには載らないほど小さな目撃者

この事件を担当した警察警部のサカリ・パロマエキは、その証拠がどれほど奇妙に聞こえるかをよく分かっていた。彼はBBCに対し、フィンランド警察が犯罪解決のために昆虫を使ったのは初めてだと語った。[1] 「蚊を使うのは普通ではありません」と彼は言った。「訓練で、犯罪現場では蚊にも注意しろなどとは教わりませんでした」[1]

蚊は、自分が証拠だとは知らない。誰がドアを開けたのか、誰が車に座ったのか、誰が運転して走り去ったのかを覚えているわけでもない。ただ血を吸い、休み、そして死ぬ。もし腹部の血液がその車内にいた人物のものなら、その昆虫は人間のDNAを入れた小さな容器になり得る。

パロマエキは、この発見の背後にある、より地味な功績にも触れた。「車の中で小さな蚊を見つけるのは簡単ではありません」と彼は述べ、この発見は現場検証がいかに徹底していたかを示すものだと付け加えた。[1] 発見された車両を、ただのゴミと見間違えてもおかしくない昆虫に気づくほど、誰かが注意深く調べていたのだ。

蚊の試料が、ただちに事件を終わらせたわけではなかった。証拠が起訴に踏み切るほど強いものかどうかは、なお検察官が判断しなければならなかった。[1] この留保は重要だ。なぜなら、その昆虫だけで物語の全体が証明されるわけではないからだ。それは、盗まれた車、数週間後の発見、死んだ蚊、吸血した血液、データベースでの一致、そして自分のDNAがそこにあった理由について別の説明をする容疑者、という一連の状況の中にDNAの一致を置いたにすぎない。

それでも、その光景は忘れがたい。ラプアで盗まれた車が、数週間後にセイナヨキ近郊で見つかる。捜査員たちは車内に身を乗り入れ、人が残していったものを探す。車室のどこかに、自白でも完璧な指紋でもなく、誰かの血を数滴抱えた死んだ蚊がいたのだ。

出典

  1. BBC News, “Mosquito blood ‘identifies thief’”